えろげだいありぃ

浅めの感想置き場

青い空のカミュ 感想

総評   :66/100

CG     :15/15 【これは文句なし】

シナリオ :10/15 【短い。これに尽きる】

声優   :6/10 【久しぶりに成瀬未亜の声を聴いた気がする】

曲    :15/20 【しもつきんの曲が良かった。雰囲気によくマッチしてたと思う】

システム :5/10 【ノイズのシステムが微妙。】

なんとなく:15/30 【もうちょっと良い調理法があった気がする】

 

 体験版範囲を飛ばしたら5時間くらいで終わりました。体験版を合わせた総プレイ時間としてもおそらく10時間弱。全編オートモードで進めても15時間はいかないと思います。

 

 

 

 最初から最後まで60点のシナリオで、意外性と盛り上がりに欠けたように感じました。要因のひとつとして挙げられるのは登場人物が少ないことではないでしょうか。なんとほとんど4人しかいません。

 登場人物が少なれば悪いストーリーになる訳ではありませんが、簡素なものになりやすいとは思います。というのもそれぞれのキャラに持たせられる役割には限界があるため、どうしても意外な展開や複雑な展開が作り辛くなるからです。本作は、比喩や引用を用いてストーリーの深みを作ろうとしていたように思いましたが、結局大部分は簡単に予想できるものだったりオオモト様に解説されたりしてしまったので、いまいち話にのめり込めませんでした。

 序盤のホラーな雰囲気も良かったし、最終盤に関しては考察のし甲斐がありそうなストーリーでしたが、それだけにボリュームの短さでがっかりしたところが大きかったです。物語内でも複数の結末を暗示していたこともあり、せめてエンド分岐はあっても良かったんじゃないかと思います。あとは単純に、作品のテーマでも物語の終わり方でも救いが無いのでは後味が悪いので。

 もうひとつ足を引っ張っていたと感じたのはシステムです。特にノイズに関しては、数クリックで抜けてしまうのでいつの間にか通り過ぎて、前の選択肢から回収のためにやり直すことになり激しく後悔しました。こういう分かり辛い分岐があるならバックログジャンプを付けてほしいです。というか各エロゲメーカーはすべからくバックログからのシーンジャンプをつけるべきです。

 バグらしいバグはありませんでした。CGモードで二人で森を歩くCGを選ぶと、「蛍ちゃんと友達でよかった」が一覧画面で出てくるくらいでしょうか。

 

 グラフィックに関しては文句無しに良かったと思います。CGの使い回しもありませんし、欲しいシーンにはきっちり一枚絵が挿入されていて世界観の構築に大いに貢献していたと思います。エロシーンでは正直興味がなかったのでコントロールキーを押してましたが、十分実用性はあるんじゃないでしょうか。

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めちゃんこきれい

 

 

 考察をひとつも載せないのはどうかと思うので、最後のシーンに関しては持論を述べたいと思います。

 

 燐が電車に乗れなかったことについて

 オオモト様は、燐は切符を持っていると言っていました。しかし電車に乗り損ねてしまったのは何故か。ここで僕が考え付いたのは、電車に乗るシーンで引用されていた銀河鉄道の夜について。銀河鉄道の夜での切符の意味にはもちろん諸説ありますが、青い空のカミュの要素も踏まえて考えると、幸せを象徴しているというもののが強いのではないでしょうか。

 燐にとっての一番の幸せの象徴は兄とのトレッキングで見た情景です。ですがその兄は死んでしまったことで、その幸せはもう過ぎ去り実現不可能なものになったこと、また、その兄と見た情景こそが幸せだったと気が付いてしまったために切符を失ってしまったのではないでしょうか。

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 だからこそ、燐は幸せの象徴である「マヨヒガ」の世界に取り残されてしまったと解釈しました。

 

 

 決して悪い作品では無かったと思います。しかし、ボリューム不足なこと、僕自身がなんでもありな世界観よりはある程度は常識的な理屈からのアプローチで紐解けるシナリオのほうが好み(すばひびとか)なこともあって刺さりませんでした。ミドルプライスだったら80点はつけてたと思います。