えろげだいありぃ

浅めの感想置き場

サクラの空と、君のコト ~Sweet Petals For My Dear~ 感想

総評   :92/100

CG     :13/15 【一緒にご飯を食べるCGがあるゲームはいいゲーム。立ち絵は文句なしにかわいいけれど、微妙に崩れた一枚絵がちらほら】

シナリオ :13/15 【凪紗ルートがあれば120点だった】

声優   :10/10 【かわしまりのさんはお嬢様が似合う】

曲    :20/20 【OPもEDもとても良かった。CD買いました】

システム :8/10 【Win10でプレイ。落ちると書いている方もいたが特にそういうことは無かった】

なんとなく:27/30 【会話のテンポが独特で楽しかった。掛け合いの中での各人の役割がはっきりしていたのが良かったと思う。面白いゲームではあったが、いいゲームでは無い】

 

 偶々OPを聴いて曲に惚れ込んだのでボーカルサントラといっしょに購入。

 美術部を中心においたキャラクター達の関係性が丁寧に描かれていて、登場人物達の生命感を感じられました。また、涼くん自体はいわゆるダメ主人公なのですが、その特性も上手く組み込んだシナリオもあって面白かったです。彩ルートと怜那ルートは、まさにこのゲームをプレイして良かったと思えるような出来でした。

 

 と言いたいですが、本音を言えばマイナス3億点ぐらいつけたい。エロゲやっててキレそうになったのは久しぶりかもしれない。なにゆえ凪ちゃん先輩を攻略できないのですか。世話焼きで主人公が好きでちょっと奥手な幼馴染と恋仲になれないというのは、ことエロゲーにおいては拷問にも等しき行為でしょう。凪ちゃん先輩が登場する度に、もどかしさにのたうち回る羽目にあいました。あまりに非道い仕打ち。ユーザーのことを考えてほしい。以下各ルート感想。

 

【千春√】

 鈍感系主人公+関係性を崩したくないヒロイン+留学で離別の危機という、あらすじだけ見てしまえばテンプレ欲張りセットな内容でした。でもきっちり全てに決着をつけて終わらせたところは◎。凪紗と佳奈多と健気さに泣きました。最後のシーンもそうですが凪ちゃん先輩かっこよすぎる。

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わんこはサブキャラで輝くタイプだと思うの

【怜那√】

 ED前とエピローグのやりとりが素晴らしかったです。心の機微を色に例えて、白い雪と鈍色の石畳を背景に交わす会話は圧巻でした。このあたりの詩的な表現はとても良かったです。ただ、折角の悲壮感に浸れる時間がEDの間しかなかったのはちょっと残念。この終わり方が悪いとは思いませんが、わざわざエピローグで即ハッピーエンドにするのであれば、本編中で離別後の主人公の成長を引っ張てもよかったとは思います。

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ここかわいかった

【佳奈多√】

 ご都合主義かつありがちな話ではありましたが、幼馴染補正+佳奈多がかわいかったので満足。ただ重病人と、しかも病室でHするのはどうなのと思わんでもない。凪ちゃん先輩の負けヒロインっぷりには涙を禁じえなかったです。どこまでも友人たちのことを思ってるのに、願い事の最後の最後で主人公と恋仲になれるように願掛けしちゃうのずるい。こんなの凪ちゃん好きになっちゃうじゃん。

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凪ちゃんェ…

【彩√】

 このゲームの中核を成すルート。ただ需要があるかと問われればたぶん無いと言えるルート。正直な感想を一言で述べるとすれば「不気味なシナリオだった」というものになると思います。貶している訳ではないですし、むしろとても面白かったです。ただ、漠然と萌えを期待してたら、いきなり抽象的なテーマで殴られたというか… 何にしても後味はあまりよろしくなかった。

 このゲームでさんざん問われている幸せの形について、一番深く迫ったルートでした。彩と涼以外のキャラクターを極力排除した構成と、二人の間で交わされる抽象的な会話の数々によって、どことなく夢想的な印象を受けます。そこでさらに健忘症の性質と夢の話、自己と世界の境界についての話が追い打ちを掛けてくるので性質が悪い。これでは混乱必至です。そしてフラン自体の自我であったり心の動きが読み取り辛いがために、作中世界にフランというキャラクターは本当に実在しているのか?という疑問を抱いてしまう程度にはよく分からなくなりました。

 かなりの遠回りを得て辿り着いた幸せの答えは「二人で一緒にいること」という、なんだかありふれたものに帰結します。その内訳としては「記憶を保てない涼の代わりにフランが全ての記憶を持ち、二人の世界で生きていく」というもの。涼はフランのことが知りたかった一方で、フラン自身は涼になりたかった訳ですから、二人にとっては幸せなのでしょう。ただ、見てる方からするとこれはバッドエンドなんでしょうかグッドエンドなんでしょうか…

 というか完全に個人的な意見ではありますが、佳奈多ルートで奇跡起こしたんだし、こっちでも奇跡で解決してもよくないですか。

 怜那ルートとも佳奈多ルートとも対比にしている節はありますし、そこらへんも含めてこういう構成にしたのかなあ。いろいろと分からない。僕にはちょっと難しかった。

 

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サク詩のキャラ(名前忘れた)とそっくりさんなのは理由があるんでしょうか

 

 学園エロゲーというにはエロも萌えも中途半端だし、シナリオゲーというには佳奈多ルートと千春ルートが足を引っ張っているように思いました。しかし、怜那ルートと彩ルートのシナリオは多少の欠点は目を瞑っても良いと思わせるほどに光るものがあります。

 でもやっぱり凪ルートが無いのは残念過ぎる。ストーリーの構成上は必要無いということは分かりますがあくまでもエロゲーですから、せかわいい子とは恋愛させてほしい。わんこルートはあったのに… ファンディスクでも出すつもりだったのかもしれませんが、出てない以上は生殺しが過ぎる。

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怜那ルートのエピローグが個人的最大瞬間風速でした

 どのルートでも、主人公の中心には絵があり、その周りに美術部と学園と幼馴染達がいるという構図が崩されていませんでした(彩√以外)。彩√に関しては、電波とも取れてしまうようなぶっ飛んだシナリオでしたが、面白かったことは確かです。

 ひたすらに絵を上手く描くことを目標にするところも、大切な人のためにどこまでも一生懸命になれるところも主人公の生き方がとても格好良かったです。また、随所に見られる詩的な表現や巧みな比喩は、芸術というテーマにも共鳴して真に迫る迫力があるシナリオを作り上げていました。

佳奈多と凪ちゃん先輩はかわいかった。

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