流星ワールドアクター 感想
総評 :72/100
CG :13/15 【背景がCGモードで見れるの良い】
シナリオ :10/15 【おもしろいだけ】
声優 :6/10 【まあ】
曲 :14/20 【おしゃれ】
システム :9/10 【若干レスポンスが悪いところ以外は快適】
なんとなく:20/30 【終わらないのは分かっていたけれど】
良くも悪くも衣笠ゲー。肝心要のところは何一つ解決しない。以下各ルート感想
【シフォン√】
途中で意味深に出てきた宇宙人はどうなったし。
恋仲になるまでが適当すぎます。寝相の話をそこまで引っ張る必要はあったのでしょうか。そして最後の国王との邂逅シーン。特に他のルートに影響するでもない宇宙生物と適当に戦って終わりという、何とも味気ない結末でした。というか後半ほとんどえっちしてるだけでした。でもシフォンちゃん自体は作中トップクラスに可愛かったので◎
【メル√】
他のヒロインたちがいわばなし崩し的に恋仲になる中で、いちばんきちんと恋愛してたのではないでしょうか。途中までは緊張感もあり、かなり面白かったのですが、これも最後が駄目。ゲノム国からの最強の刺客ということで、瞬間移動とかいうチート能力者が出てきたのでどんな戦闘が見れるのかとワクワクしていました。しかし蓋を開けてみれば、期待していたカラクリを明かして創意工夫で勝つといったことも、窮地でヒロインが活躍することも無く、転移先をナナシに予測してもらってそこに銃弾を撃ち込むという呆気ない結末。おまけにゲノム国の内紛の結末も描かれず終了。
真面目にクラリスじゃなくナナシを相棒にしたほうがいいんじゃないでしょうか。
【小町√】
一番本筋に接近するルート。それだけに一番勿体ない。課長の過去について触れるシーンがあったのにその後特に触れることもなくスルーされたのは何故なのでしょうか。ただ宗介と共闘して事件を追いかけてからのシュバルト戦が熱かったのは事実です。この路線で続けて欲しかったところ。
肝心の小町はいまいち影が薄いというか、無能力かつ一般人なだけあって他ルートでも肝心な場面に出てこないので、あまり印象に残りませんでした。でもエロゲでよくいる使えないくせに出しゃばって足引っ張る系ヒロインよりはいいかも。
【クラリス√】
せっかくエルフ国まで出向いたうえに、立ち絵ありのキャラまで出てきたので、これはひと悶着あるかと思いきやあっさり終了。あのエルフの彼はなんだったんだ。
過去の体験を通じてクラリスと主人公の関係性が変わっていくところは良かったです。ずっと言いなりだったクラリスが、終盤しっかりとルカに意見し対等に渡り合うのは刑事としての成長も感じられて良い演出だったと思います。
リンダとの共闘展開といった面白くなりそうなシナリオも、これからというところでエンディングなのでやはり尻切れトンボな感は否めません。
**
まずはいいところから
世界観について、第7共和国内に関してはとても良く練られていました。常夜の国ということでアングラな雰囲気も上手く演出できていましたし、多種族国家ならではの種族間のしがらみがあることについても触れられていて、よく考えられていると思います。
また、登場するキャラクター間のやりとりも小気味よく、日常シーンで飽きるといったことは皆無でした。
BGMも世界観にマッチしたオシャレなものが多く、話の盛り上げに一役買っていました。ただ、一部やたら壮大でうるさいのがあったのはマイナス。
悪いところとしては、まずキャラクターの思考回路が理解できないところ。
例えばシフォンであれば、給料の60万を娘が病気だという行きずりの母娘に貸す場面。もちろん詐欺られている訳ですが、せっかく主人公が捕まえたその母娘をシフォン本人が許してそのまま逃がしてしまいます。作中何度も自分が過去に起こした無銭飲食を悔いて贖罪することを口にしていますが、それだけ自分の些細な罪を重く見ているのにここまで他人の罪に無頓着なのは、何というか自分に厳しく他人に優しくを通り越して、ただの自己満足というか利己的というか。
クラリスであれば、メリッサが命の危機に陥っているときや重要な事件を追いかけている最中であっても場を弁えず定時上がりを口にするシーン。ちょっとあんまりだと思います。全体的に、キャラクターの個性に言動が引っ張られすぎて、結果として不可解な行動をする場面が多いように思います。
次に挙げられるのが、ここはまあ案の定といったところですがいろいろと投げっぱなしで終わること。
散々教団絡みについて引っ張ったのに壮大に何も始まりませんでした。結局なんとかの同盟も具体的な要素は砂しか出てきませんでしたし、教団事件についても詳しい掘り下げはないままでした。
唯一まともに自力で倒したのは仮面の男ぐらいなもので、ほとんどの敵キャラクターに関しては詳細な掘り下げも無く痛み分けで終わる、倒したとしても第二第三の刺客が……な形であるため、消化不良感が残ります。
また、味方のサブキャラ達も十全には活かされていませんでした。係長や宗介といった、教団事件に関わっていることが示唆されていたキャラクターであったとしても、特に過去について掘り下げるといったことはありません。特にナナシに関しては作中重要な場面で多く登場し、極めて強力な能力を持つキャラクターであるにも関わらずバックボーンがスカスカなので、物語の都合に合わせた便利キャラにしか見えません。
極めつけはエピローグ。最後に明かされる、実は道中で倒した中ボスが教団の親玉なんじゃないか疑惑。このがっかり感、どうしてくれよう。
全体として、やはり消化不良感は否めません。キャラクターたちもどこかちぐはぐな感じを受けましたし、ストーリーも肝心なところは明かされませんでした。分かってはいましたが、今度こそきっちり終わらせてくれるのではないかという淡い期待があっただけに残念です。面白い要素が揃っているのは間違いない事実なので、正当な続編が欲しいです。ソシャゲはいらないです。