カルタグラ ~ツキ狂イノ病~ 感想
総評 :77/100
CG :10/15 【約15年前のゲームだが遜色無い。すごい】
シナリオ :10/15 【描写不足が目立つものの、テーマは十全に描ききっていた】
声優 :8/10 【けっこう豪華】
曲 :20/20 【すごくいい】
システム :4/10 【スキップが遅い、BGMがバグる】
なんとなく:25/30 【雰囲気◎ 逆に言うとこれを楽しめないと多分きつい】
多分ネタバレ無し
天の少女に備えてイノグレ作品を予習しようキャンペーン第一弾。
ちなみに当ブログ名の由来はキルダイアリーから来ています。
戦後直後の日本、陰惨な殺人事件、そして狂気と来ればミステリー好きの人ならば京極堂シリーズを思い浮かべるのではないでしょうか。本作はスタッフが京極堂シリーズにインスパイアされたということもあって、雰囲気はエロゲ版京極夏彦作品といえるものに仕上がっていると思います。
一見無関係に見える複数の事件と過去を追っていくうちに、それらが複雑に絡み合って一つの形を作るという図式は、まさに京極堂シリーズの真骨頂とも呼べるような作りで、本作もそれを踏襲したシナリオ構成になっています。
ただ両者の物語の魅せ方は異なっています。京極作品において僕が素晴らしいと思っている点として、読者を物語に没入させるための細かな工夫と、その効果としてミクロ的観点からマクロ的観点に移動していることに気付かせず一気に種明かしをするということが挙げられるでしょう。
しかし、カルタグラにおいては細に穿った描写と緻密に組み立てられた事件というよりも、キャラクターの魅力と美麗なCGというエロゲならではの表現の良さを押し出した魅せ方をしてくれたように思います。粗は目立つものの、キャラクターたちの狂気を十全に感じさせてくれる良いシナリオでした。
過去編の描写不足や主人公や妹の行動など、いまいち腑に落ちない部分も多くあるのも事実です。そういった点でミステリー物という意味では手放しで褒められないところもありますが、グラフィックと音楽による世界観構成は目を見張るものがあります。殻ノ少女シリーズの予習という意味を抜きにしても、きっとプレイしてよかったと思える作品です。